住宅ローンを組む際、返済方法として「元利均等返済」と「元金均等返済」のいずれかを選ぶことになります。このうち元利均等返済は毎月の返済額が一定になる方法で、多くの方に選ばれている返済方式です。

元利均等返済では、借入れ初月から完済まで毎月支払う金額が変わりません。ただし端数調整により、初回や最終回だけ若干金額が異なる場合があります。返済額は一定でも、その内訳は時間の経過とともに変化していくのが特徴です。

返済額の内訳はどう変わる?

住宅ローンの返済額は「元金」と「利息」で構成されます。元利均等返済では、返済開始直後は利息の割合が大きく、元金の返済はゆっくり進みます。しかし返済を続けていくと、借入残高が減るため利息も徐々に少なくなり、元金の返済割合が増えていきます。

たとえば借入額2,000万円、金利1.5%、返済期間30年のケースでは、返済1年目は毎月約69,000円の返済額のうち利息が約35%を占めますが、15年目には利息の割合が約20%まで減少します。

元金均等返済との違いを整理する

もう一つの返済方法である元金均等返済は、毎月の返済額のうち元金部分を一定にする方式です。利息はローン残高に応じて計算されるため、返済初期は返済額が多く、時間とともに減っていくのが特徴といえます。

返済方法 毎月の返済額 総返済額 返済初期の負担
元利均等返済 一定 やや多い 比較的軽い
元金均等返済 徐々に減少 やや少ない 重い

元金均等返済は総返済額を抑えられる利点がある一方、返済当初の負担が重くなります。新生活のスタート時には引越し費用や家具の購入など何かと出費が多いため、初期の負担を軽くできる元利均等返済が選ばれやすいのです。

元利均等返済を選ぶメリット

元利均等返済には、毎月の返済額が変わらないという大きな特徴があります。この特徴から生まれるメリットは、家計管理のしやすさと返済開始時の負担軽減の2つです。

家計管理がしやすい安心感

毎月の支払額が一定であるため、収入の中から決まった額を住宅ローン返済に充てられます。貯蓄計画や将来の支出予定を立てやすくなるのは、長期的な家計運営において大きなメリットです。

子どもの教育費や老後資金など、先々の資金計画を考える際にも、この予測可能性は心強い味方となります。

返済スタート時の負担を軽減

住宅購入直後は、引越し代や新しい家具・家電の購入、場合によってはリフォーム費用など、まとまった出費が重なりがちです。元利均等返済なら、元金均等返済と比べて初期の月々の支払額を抑えられるため、生活の立ち上げ時期の経済的余裕を保ちやすくなります。

特に子どもがまだ小さく、これから教育費の負担が増えていく家庭にとっては、当面の支出を計画的に管理できる点が魅力といえるでしょう。

注意しておきたいポイント

元利均等返済は多くのメリットがある一方で、知っておくべき注意点もあります。総返済額と収入変動時のリスクについて、しっかり理解しておきましょう。

総返済額は多めになる

元利均等返済では、返済初期の元金返済ペースが緩やかなため、同じ返済期間で比較すると元金均等返済よりも利息の総額が増えます。長期的に見れば、数十万円から百万円以上の差が生じることもあります。

ただし、この差額と引き換えに得られる「毎月の安定した返済額」というメリットをどう評価するかは、各家庭の状況次第です。損得だけでなく、家計の安全性や生活の質も含めて総合的に判断することが大切でしょう。

収入減少時期への備えも考える

定年退職後も返済が続く場合、年金生活に入ると家計に占める返済負担の割合が高まる可能性があります。元利均等返済は返済額が一定なので、高齢期に収入が減っても支払額は変わりません。

このようなケースでは、繰上げ返済を活用して返済期間を短縮し、収入が減る前に完済する計画を立てておくと安心です。元利均等返済を選んだ場合でも、余裕があるときに積極的に繰上げ返済することで、将来のリスクに備えられます。

自分に合った返済方法を選ぶために

元利均等返済と元金均等返済、どちらを選ぶべきかは一人ひとりの状況によって異なります。ご自身のライフプランや家計の状況に照らし合わせて、最適な選択をすることが重要です。

ライフプラン全体で考えよう

元利均等返済が向いているのは、以下のような方です。

  • 毎月の家計管理を分かりやすくしたい
  • 住宅ローンと並行して教育費の貯蓄も進めたい
  • 返済スタート時の負担を軽くしたい
  • 将来の支出計画を立てやすくしたい

一方、資金に余裕があり早く元本を減らしたい方や、今は共働きでも将来的に収入が減る予定がある方には、元金均等返済も選択肢になります。

専門家のアドバイスも活用する

返済方法を決める際は、金融機関の窓口やファイナンシャルプランナーに相談するのも有効です。ご自身の収入見込み、家族構成、将来のライフイベントなどを総合的に考慮したうえで、最適な返済プランを選びましょう。

住宅ローンは長期にわたる大きな買い物です。目先の損得だけでなく、家計の安定性や心の安心感も含めて、納得できる返済方法を選んでください。