住宅ローンを借り入れる際、金利のタイプ選びは重要な決断の一つです。金利には大きく分けて「固定金利」と「変動金利」がありますが、それぞれに異なる特徴があります。固定金利は、返済計画を立てやすく、金利変動の不安から解放されるという特徴を持っています。

固定金利の基本的な仕組み

固定金利とは、あらかじめ定められた期間において、借入時に設定された金利が変わらないタイプの金利のことです。市場金利がどのように変動しても、固定期間中は当初の金利が適用され続けます。

住宅ローンの固定金利には、大きく分けて2種類のタイプが存在します。一つは借入時から完済まで金利がずっと変わらない「全期間固定金利型」、もう一つは当初3年、5年、10年など一定期間のみ金利が固定される「固定金利期間選択型」です。

金利タイプ 特徴 固定期間
全期間固定金利型 借入時から完済まで金利が変わらない 返済終了まで
固定金利期間選択型 当初の一定期間のみ金利が固定される 3年、5年、10年など

全期間固定金利型の特徴

全期間固定金利型は、借入時に設定された金利が返済終了まで変わることがありません。代表的な商品として、住宅金融支援機構のフラット35があります。

このタイプは融資実行時点で完済までの金利が確定するため、毎月の返済額と総返済額が最初から明確になります。長期間にわたって返済額が変わらないので、教育費や老後資金など、他のライフプランと組み合わせた資金計画が立てやすくなります。

市場金利が上昇した場合でも返済額は変わりませんが、逆に市場金利が低下した場合でも返済額は減少しません。この点は、固定金利の大きな特徴といえます。

固定金利期間選択型の仕組み

固定金利期間選択型は、当初の一定期間だけ金利が固定されるタイプです。固定期間は金融機関によって異なりますが、一般的に2年、3年、5年、7年、10年、15年、20年などから選択できます。

固定期間が終了すると、その時点で改めて金利タイプを選び直すことになります。同じ期間の固定金利を再選択することもできますし、異なる期間の固定金利や変動金利に切り替えることも可能です。

ただし、固定期間終了後に適用される金利は、その時点での市場金利に基づいて決定されるため、当初の金利とは異なる可能性があります。

  • 固定期間中は金利が変わらず、返済額も一定
  • 固定期間終了後に金利タイプを選び直す
  • 一般的に固定期間が長いほど適用金利は高くなる
  • 期間終了時の金利は市場動向によって変動する

固定金利と変動金利の違い

固定金利と変動金利の最も大きな違いは、借入期間中に金利が変動するかどうかという点です。変動金利は、市場金利の動きに応じて半年ごとに金利が見直されます。そのため、金利が下がれば返済額も減少しますが、金利が上昇すれば返済額も増加します。

一方、固定金利は固定期間中であれば市場金利がどのように変動しても借入金利は変わりません。このため、将来的な金利上昇のリスクを避けたい人や、毎月の返済額を確定させて家計管理をしたい人に適しています。

比較項目 固定金利 変動金利
金利の変動 固定期間中は変わらない 半年ごとに見直しがある
返済額の予測 確定しており計画が立てやすい 市場金利の影響を受ける
一般的な金利水準 変動金利より高め 固定金利より低め

固定金利が決まる基準

住宅ローンの固定金利は、一般的に長期金利(10年国債利回り)を基準として決定されます。長期金利が上昇すれば固定金利も上昇し、長期金利が低下すれば固定金利も低下する傾向にあります。

固定金利期間選択型の場合、固定期間の長さによっても金利水準が異なります。通常、固定期間が短いほど金利は低く、固定期間が長いほど金利は高く設定されています。これは、金融機関が長期間にわたって金利を固定するリスクを考慮しているためです。

各金融機関は毎月1日に金利を見直すことが一般的で、その時点の市場金利動向を反映した新しい金利が適用されます。

固定金利を理解するための注意点

固定金利を選択する際には、いくつか理解しておくべき点があります。まず、固定期間中は原則として金利タイプの変更ができません。市場金利が下がったとしても、固定期間が終了するまでは当初の金利が適用され続けます。

また、固定金利期間選択型で固定期間を再選択する場合、金融機関によっては手数料が発生することがあります。手続きを行わない場合は、自動的に変動金利へ切り替わる仕組みになっている金融機関が多いため、注意が必要です。

  • 固定期間中は金利タイプの変更ができない
  • 固定期間終了後の金利は市場動向によって変わる
  • 固定金利の再選択には手数料がかかる場合がある
  • 手続きをしないと変動金利へ自動変更される場合がある